「チーム・自分」のリーダーになるために
双葉社 反町有里

この文庫のタイトルが『本当のリーダーの見つけ方』で、サイズが新書判だったなら、手に取らなかったかもしれません(きっと組織で働く人向けの自己啓発書だと思ったはず)。
著者が梨木香歩さんでなかったら、私はこの本に目を留めなかったかもしれません(言わずもがなですが『西の魔女が死んだ』の著者です。その梨木さんが前述のような自己啓発書を手がけるはずがないという思い込みから)。
私がよく利用する書店で文庫の新刊平台を眺めていたときに、まさに「呼ばれた」のが本書です。やわらかな字面のタイトルに含まれる「リーダー」という言葉は、その言葉が持つ意味以上の何か「ほんとう」のことを表しているような気がしたのでした。
さっそく読んでみると、果たして「ほんとう」のことが書かれていました。思わず会社でコピーして、会議などで使用するファイルに挟み込んだのが、以下の文章が掲載されているページです。
「え、そうかな?」と思ったことを大切にする。それがあなたらしさを保っていく。(中略)疑問に思ったこと、そして明らかにおかしいと思ったこと。それは「チーム・自分」の抱える課題となります。(P44)
ここでポイントなのは、「チーム・自分」です。社会の風潮や、相手の意見に疑問を持ったり、おかしいと感じたりすることは、生きていればままあるでしょう。本書では、それを「『チーム・自分』の抱える課題」と言い表しています。
私はこの本を読み、生きていくなかで覚える疑問やおかしさは、自分の心のどんなところから発せられているのかを探り、とことん見つめるという過程こそ大事にしなければいけないのだと肝に銘じました。そうすることで、そもそもその疑問などが、実は自分の狭量さや知見不足によるものだということにも気づくのかもしれません。
このような過程をきちんと踏むことが、いずれ「チーム・自分」の新たな推進力となるはずです。
本書には、このようなことも書かれています。
「こんなことに傷ついていない、なんとも思ってないっていう方が、人間の器が大きいような気がするんだ。でも、それは違う。大事なことがとりこぼれていく」(P45)
私は50年以上生きてきたなかで、「大事なことがとりこぼれていく」場面を見て見ぬふりをし、また自らそうした場面を作ってきてしまった自覚もあります。とうに人生を折り返した今、「チーム・自分」の「ほんとうのリーダー」になるべく、自分を取り巻く世界に目を凝らし、勇気を奮いながら一日一日を生きたいと思わせてくれたのが、この本です。
会社で時々、ファイルに挟んだコピーを見返しては、迷える背中をそっと押してもらっています。
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新宿から遠ざかっていく電車のなかで
