髙田郁をはじめ書店員さんなど本に関わる皆さんが選ぶ「一冊」をリレー形式で紹介いたします
- どんなに仕掛けても売れなかった本
- M(出版社勤務)
「この1冊」の掲載第44回目を4月に更新、奇しくも4が3つという麻雀の役みたいな数字が並んだ。麻雀が大好きな作家を思い出した。 私が紹介する作品は「臆病者」(著者・浜田文人)。 何度か担当書店で仕掛けたが、当時のやり方が上手くなかったためか、あまり売れたという印象はない。いまも埋もれ続けたままだ …続きを読む
- 本があることが当たり前すぎて
- TAKE(元書店員)
“1冊の本と出合うことで、自分の中で何がどう変わったか、どのような影響を受けたかを紹介する”というのが「この1冊」の主旨だそうだ。父親の職業柄、幼いころから常に本が身近にあったのだから、いくらでも書けるだろうと思ったが、これがなかなか難しい。「この1冊」に影響を受けたというよりは、川の流れが徐々に岸 …続きを読む
- 本なんて読んだことがなかった
- 日販テクシード 平木龍大
1冊の本で人生は変わる。そんな本との偶然の出会いがあると私は信じている。 本を読まない子どもだった。読書感想文は、TSUTAYAで映画をレンタルしてなんとか書いた。大学に入学しても変わらず、猫の額ほどのキャンパスでサークル活動という名の遊びに全力だった。 そんな私が本を読むようになったのは、m …続きを読む
- 夢のルーツは、今も本箱に
- 十文字学園女子大学 草野美保
子どもの頃、友達と遊んだり習い事に通うなど、それなりに忙しく過ごしてはいたが、読書にはいくらでも費やせるほど、私の時間はたっぷりあった。年齢によっていくつかのマイブームはあったが、記憶をたどってみると最初に惹かれたのは外国の民話・神話や冒険(旅)物語だったように思う。ことにお気に入りだったのは、ロ …続きを読む
- フェルジナンドのように、母のように
- の君に本を 店主 chie
大学生になった時、突然ポツンと一人になった。学校に知り合いが一人もいない、そんな環境に身を置くのは初めての経験だった。18歳。現在ならもう大人とみなされるような歳になって「友達ってどうやって作るんだっけ?」と、当時の私は戸惑っていたのだ。それまでは「笑いが最優先」みたいに生きてきた私にとって、周りの …続きを読む
- 『ノースライト』の光
- TSUTAYA中万々店 山中由貴
横山秀夫さんが書く文章や言葉は、きっと何度も何度も推敲されていて、著者が真正面から物語に向き合っていることが読者にも伝わる、壮絶ななにかがある。以前からその「なにか」を受けとりながらも、ただぼうっと“すごい”としか表すことができなかったのだけれど、『ノースライト』を読んだとき、身体の奥から、底の底か …続きを読む