髙田郁をはじめ書店員さんなど本に関わる皆さんが選ぶ「一冊」をリレー形式で紹介いたします
- フェルジナンドのように、母のように
- の君に本を 店主 chie
大学生になった時、突然ポツンと一人になった。学校に知り合いが一人もいない、そんな環境に身を置くのは初めての経験だった。18歳。現在ならもう大人とみなされるような歳になって「友達ってどうやって作るんだっけ?」と、当時の私は戸惑っていたのだ。それまでは「笑いが最優先」みたいに生きてきた私にとって、周りの …続きを読む
- 『ノースライト』の光
- TSUTAYA中万々店 山中由貴
横山秀夫さんが書く文章や言葉は、きっと何度も何度も推敲されていて、著者が真正面から物語に向き合っていることが読者にも伝わる、壮絶ななにかがある。以前からその「なにか」を受けとりながらも、ただぼうっと“すごい”としか表すことができなかったのだけれど、『ノースライト』を読んだとき、身体の奥から、底の底か …続きを読む
- 私が本を読むきっかけになった出来事
- 土かべ文庫 店主 綾田則朗
私が初めて自身のお小遣いで文庫本を買ったのは高校2年生のときです。それまで漫画の本ばかり読んでいて、活字の本は読書感想文の宿題以外は読んだことがなかったと思います。地元高槻の公立高校に通っていた私の移動手段はいつも自転車。自転車に乗って駅前に出て洋服を見たり、レンタルCD屋に行ったりしていました。高 …続きを読む
- わたしの終わらないぼうけん
- 紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子
あなたの最初の本の記憶はどんな作品ですか?私が覚えている、初めての本との出会いは保育園年少組の時の読み聞かせでした。ン十年以上前の子どもの頃の記憶なんて、今となってはほぼないに等しいのですが、この時だけはなぜだか鮮明に覚えているのです。先生が前にいて、その正面に私含め園児が並んでいて、たぶん私は先生 …続きを読む
- そこに生きる人々を、そして風土を伝える
- 青森放送 夏目浩光
昭和の時代、私が住んでいた町にも、自転車で行ける範囲に、多くの書店があった。部活動で活躍するクラスメイトを尻目に学校から帰る。カギっ子と呼ばれた私の居場所はあちこちの書店だった。お気に入りは、町で一番大きな精文館書店。音楽や映画、自動車やアニメ、思春期の男の子が興味を持つような雑誌まで、自分の知らな …続きを読む
- 孤独とむきあう、自分とむきあう
- KŌHEI
『孤立』は寂しいが『孤独』でいることは決して悪いことではない。 「1人で遊ぶこと」や「孤独でいること」が寂しくないか?と言ってくる人がよくいるが、1人の時間を過ごすことの”ありがたみ”や奥深さを知らないことは、人としての浅さを露呈することだと個人的には思っている。が、特にそれに言及するつもりはない。 …続きを読む